その他論稿

「勤労者のキャリア意識についての一考察」(公社)経営・労働協会『月刊経営労働』第315号pp.4-7

 非正規社員の増加や転職の増加し、現代は学業を終えて就職する人々が、全て一つの組織でその職業人生を終えたり、転勤と、より上位の管理職への昇進を繰り返す人生を目標とする時代ではなくなってきました。また、一つの組織を辞めても、その人の職業人生が終結するわけではなく、主婦の再就職の増加にみられるように、多くの人が職業人生を継続します。そのため、働く人は自らのキャリア意識によって、その職業人生が大きく左右される状況が生じています。本稿では、キャリア意識として、自分のキャリアや職業を重視する程度を示すキャリア・コミットメントとこれまでの自分のキャリアに対する満足感を示すキャリア満足を取り上げました。
 そして、民間企業の正社員に対する質問票調査によって、職務や職場の状況や本人の組織や仕事に対する意識がどのように影響するのかを分析しました。その結果、生活において仕事の役割の占める割合の高いこと、個人と組織のキャリアプラン(将来の昇進やジョブローテーションについての計画など)の一致度が高いと感じること、および職務が自己実現の機会が高いと感じることは、高いキャリア・コミットメントと高いキャリア満足の両方をもたらすことが示されました。以上から、個人ごとにキャリアプランを明確にしてもらうような教育訓練や、従業員のキャリアプランに可能な限り適合した、多様なキャリア上の進路(キャリア・パス)を用意する必要があると考えられます。また、従業員が自分の職務を、自己実現のための機会を十分にもったものだと感じるような職務設計のあり方が求められるでしょう。
 働く人の意識やそれと組織のマネジメントとの関係などの問題に興味がある方は、是非お読み下さい。

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