学会発表

「キャリア・プラトー状態の従業員の研究-従業員の持つ労働観やイメージとの関係から」産業・組織心理学会第11回大会(大阪府立労働センターエル・おおさか:大阪大学)

 近年、リストラなどによるポスト不足によって、組織における昇進の停滞を示すキャリア・プラトー現象が広がりを見せています。組織のピラミッド構造を前提とすれば、ほとんどの従業員は最終的にはプラトー状態を迎えることになります。そして、プラトー状態になっても個人の業績は必ずしも低下する訳ではないといった調査結果もみられています。つまり、キャリア・プラトー現象をネガティブな側面からのみとらえるのは適切ではないと考えられます。それでは、プラトー化した従業員(プラトー)とプラトー化していない従業員(ノン・プラトー)とはどのような点が異なるのでしょうか。本論文では、プラトーとノン・プラトーの変化しにくいといわれる労働観と変化しやすいといわれるイメージを、民間企業の正規社員に対する質問票調査によって比較しました。
 その結果、全体としてプラトーは、仕事に対する責任など上司や同僚からの評価を前提としたものや仕事における人間関係を重視していました。この点から、プラトーに対しては仕事の意義や重要性を重視するとともに、上司や同僚からフィードバックを得やすい仕事を担当してもらうような職務管理が重要と考えられます。次に、イメージにおいては、全体としてはプラトーとノン・プラトーとで大きな違いはありませんでした。人的資源管理上、従業員の意識に訴えるような施策をとる場合も、プラトーとノン・プラトーとで区別する必要性は低いと考えられます。
 働く人のキャリア発達の問題に関心がある方は、以下をお読み下さい。
 産業・組織心理学会第11回大会発表論文集, pp. 35-37

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