学会発表

「大企業管理職の目標設定とキャリア・プラトー現象」産業・組織心理学会第13回大会(広島大学)

 キャリアの「発達」といわれますが、働く人々のキャリアは本当に「発達」しているのでしょうか?実際は停滞(プラトー化)し、場合によっては下降することもあるというのが実態ではないでしょうか? そこで本発表では、所属組織で将来の昇進の可能性が低下することを示すキャリア・プラトー(昇進の遅れ)現象を取り上げ、それがモチベーションや業績を低下させるまたは退職を促進するという関係を想定しました。そして、モチベーション理論の一つである目標設定理論に基づいて、大企業の課長職を対象とした質問票調査によって分析しました。目標設定理論では、従業員のモチベーションを高め、高い業績を達成するために、個人が目標を設定するか、周囲から目標を提示する必要があるとされています。つまり、従業員自身の昇進目標の設定によって自己への期待が高まり昇進可能性の知覚が高まることが予想されます。
 昇進目標の設定とプラトー現象との関係を分析した結果、将来の昇進目標(職位)が高いほど、設定した昇進目標に対する受容性(納得度)が高いほど、また途中段階の目標を設定しているほど、プラトー化していないことが明らかにされました。また、プラトー化は昇進目標とモチベーションや業績との関係に影響していました。例えば、プラトー化していない人は段階的に昇進目標を設定しているほどモチベーションが高いのに対して、プラトー化している人は段階的に昇進目標を設定しているほどモチベーションが低いという関係が見出されました。
 昇進など組織におけるキャリア発達に関心がある方は、以下をお読み下さい。
 産業・組織心理学会第13回大会発表論文集, pp. 114-116

「キャリアプラトーとは」特集はこちら

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