広い意味での働くことに関する対象に対するコミットメントをワーク・コミットメントといいます。例えば、キャリア志向のワーク・コミットメントである組織コミットメント(職業関与)は、所属している職業(キャリア)に対するコミットメントを、組織志向のコミットメントである組織コミットメント(組織関与)は所属組織に対する、職務志向のコミットメントである職務関与は担当している職務に対する、それぞれコミットメントを示します。本論文では、これら3つの志向に基づく勤労者のワーク・コミットメントを、職位などの個人属性、労働に対する価値観を示す労働観や満足概念との関係により比較しました。それにより組織による従業員のワーク・コミットメント増進のための有効な施策を検討しました。
民間企業の正社員に対する質問票調査の結果、キャリア上の経験を積むに従いコミットメントが高まることや、職務関与、組織コミットメント、組織コミットメントの順で、労働観の影響を強く受けることなどが明らかにされました。
働く人の意識やそれと組織のマネジメントとの関係などの問題に興味がある方は、是非お読み下さい。
本論文のもとになった報告で、1994年度日本労務学会賞(研究奨励賞)を授与されました。
学術論文