残業が多かったからなのか、上司との関係が良くなかったからなのか、それとも仕事内容が合っていなかったためなのか、社員が辞める本音はなかなか聞き取ることはできません。ほとんどの社員が円満に辞めたいと思い、本音については口を閉ざし、当たり障りのない理由しかもらさないからです。一方、深刻な人手不足が続き、社員の採用が難しい中、次から次に社員が辞めていくことは会社経営にとってダブルパンチとなります。そのため、社員に少しでも長くとどまってもらいたいと考えている会社が大半ではないでしょうか。近年、多くの会社は長時間労働の抑制等働き方改革によって社員の働きやすさを追求しています。しかし、本格的な転職社会になり、誰にとっても転職が一般的になってきた現代、社員の定着率が高まり引き留め(リテンション)がうまくいっている会社はそうそう多くはないのです。そこには、社員が働き続けるために会社に求める施策と会社が社員を辞めさせないために力を入れている施策の微妙なずれがあるからです。
本書は、多くの働く人からその本音を聞き取ることで、定着率を高めるために会社や上司に何が求められるのかを探りました。その中で、実際辞めた人と悩みつつも辞めないで踏みとどまった人とでは何が違っていたのか、そこに何が働いていたのかを分析しました。また、定着率の向上に成功している企業にはその秘訣を聞き取りました。このように本書はこれまでの単なる転職本とは違い、残って欲しい企業の視点も取り入れて企業と社員とがwin-winの関係になるために必要な条件や考え方にふれています。具体的には、社員が入社後に感じるギャップを減らすにはどうすればよいか、コミュニケーションを良くするにはどうすれば良いか、退職願を出されたときにどうすればよいかなど、ポイントごとに必要な施策を考えていきます。
若手の本音がわからず悩んでいる管理職の方々、定着率悪化に歯止めがかからない会社の人事や経営者の皆様、さらには転職を考えている方、逆に今は転職を考えていない方など、多くの方々に読んでもらいたいと思います。
→コンサルタントに聞いた!【“定着”のためのオススメ本5選のご紹介】(2021)
→社員の入社後の活躍のために!経営者・人事に読んでいただきたい厳選10冊 (2018)
4回に分けた「さわり」が「日経BizGate」に掲載されています
→日経BizGate第1回(離職につながる12の理由)
→日経BizGate第2回(それでも退職願を書かない理由)
→日経BizGate第3回(会社と社員のすれ違いとは?)
→日経BizGate第4回(実は入社してからでは遅い!)
→掲載された新聞広告 2018.6.17朝日新聞朝刊
書評等
→WEB労政時報「人事パーソン要チェック!新刊ホンネ書評第144回」
→HUREC AFTERHOURS 人事コンサルタントの読書・映画備忘録
取材記事
→「『なぜ、御社は若手が辞めるのか』を書いた青山学院大学経営学部教授 山本 寛氏に聞く」
「Books & Trends」東洋経済オンライン・『週刊東洋経済』2018/7/21号)
→「なぜ、『若手優秀人材』は辞めるのか?~「イマドキ若手」のリテンション・マネジメント~」
『入社後活躍研究所』(エンジャパン(株))
リテンションについてより詳しく知りたい方はこちらの2冊もお読み下さい
→『連鎖退職』(日経プレミアシリーズ:新書)
→『人材定着のマネジメント-経営組織のリテンション研究』
→「リテンションマネジメントとは」特集はこちら
目次
はじめに
第1章 社員に捨てられる会社
第2章 若手はこうして会社を辞める
第3章 社員が辞める会社・辞めない会社の境界線
第4章 社員の定着のためにできること
――リテンション・マネジメントのポイント
第5章 働き方改革とリテンション
おわりに