組織従業員の組織間キャリア志向と従業員がとるキャリア戦略との関係を検討しました。組織間キャリア志向は一つの組織内での組織内キャリアから複数の組織を渡り歩く組織間キャリアへの移行をどの程度志向しているかを示す主観的概念であり、すべての組織従業員がその高低に関わらずもっていると考えられます。転職の増加による雇用の流動化が進展し、組織間キャリア志向が高い人々が増えていることが想定されます。彼らはどのようなキャリア戦略、すなわち何らかの形で自分のキャリア目標を達成するための行動をとっているのでしょうか。質問票調査による分析の結果、組織間キャリア志向が高いことは、同じ組織間キャリア戦略である転職活動などを意味するキャリア探索行動を促進していました。また、本人のキャリア意識が組織間キャリア志向とキャリア戦略との関係に影響していました。たとえば、自分のキャリア目標へのコミットメントが高いことは、組織間キャリア志向が高い場合挑戦的な職務行動など新しい行動に臨むことを抑制するなど、興味深い結果がみられました。雇用流動化のもと、キャリア発達のためのキャリア戦略の問題に関心をお持ちの方は、以下をお読み下さい。
産業・組織心理学会第19回大会発表論文集, p.12
学会発表