「発達」という上昇的なポジティブな側面からのみ論じられることの多かった働く人のキャリア発達に、「発達の停滞」というネガティブな側面から光を当てたのがキャリア・プラトー(停滞)現象です。本発表では、キャリア・プラトー現象を、現在以上の職位に昇進する可能性が非常に低い状態ととらえ、それに影響を及ぼす要因を検討しました。
臨床経験3年以上の看護師を対象とした質問票調査の結果結果、以下の点が明らかにされました。客観的なプラトー状態にあっても主観的にはプラトーでない状態(ノン・プラトー)にあることへ影響する組織的な要因は、常勤看護師や高学歴の看護師の数が多いことでした。できるだけ手篤く常勤の看護師やスペシャリスト、高学歴看護師の配置に努めることが主観的プラトー化の防止に繋がる可能性が明らかにされました。個人的な要因としては、キャリア・プラトー状態にある看護師の方が、年齢、経験年数、経験病院数が多いことから、中堅以上の看護師がプラトーに陥らないための対策を講じる必要が指摘されました。職位が限られている環境下では昇進は望みにくいため、看護師が看護職であることへの誇りを持てるような方策や自律的キャリア開発を支援する仕組みづくりなどの推進が望まれます。
専門職や看護師のキャリア発達や働くこと一般の問題に興味をおもちの方は、是非お読み下さい(松下由美子・田中彰子・吉田文子・杉本君代・雨宮久子各氏との共同発表)。
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