邦題「エンプロイアビリティ保障の実証的研究-能力開発以外の観点から」
欧米では長年、組織が従業員のエンプロイアビリティ(組織に雇用される可能性)を高めることの重要性が認められてきました。これを「エンプロイアビリティ保障」といいます。本論文では、わが国の組織でのエンプロイアビリティ保障の現状と、それが職務満足を高める、退職意思を減退させるなど組織にとって有効かどうかを、能力開発管理以外の観点から検討しました。従業員の能力を向上させるoff-JTなどの能力開発管理は、エンプロイアビリティ保障として当初から有効と考えられてきたからです(これについては、2015年末に日本経営学会の『経営論集』第36号に掲載されます)。
民間企業の正社員に対する質問票調査の結果、従業員の自律性を重視するような組織によるキャリア開発は、従業員の内的エンプロイアビリティ(組織内で評価の高さを通して組織に雇用され続けること)の保障及び外的エンプロイアビリティ(組織外への雇用、転職を可能にすること)の保障を促進することが見いだされました。また、従業員の雇用保障は内的エンプロイアビリティの保障につながることが明らかにされました。さらに、組織によるキャリア開発と雇用保障はエンプロイアビリティ保障を通して職務満足、組織へのコミットメント、キャリア意識、退職意思などにプラスに働きました。企業がそれらの人的資源管理を通して従業員のエンプロイアビリティを高める必要性が明らかにされたといえます。
働く人の雇用問題等について興味をおもちの方は、是非以下をお読み下さい。
→本文へ