「発達」という上昇的なポジティブな側面からのみ論じられることの多かった働く人のキャリア発達に、「発達の停滞」というネガティブな側面から光を当てたのがキャリア・プラトー(停滞)現象の研究です。近年の研究では、キャリア・プラトー現象を、所属組織で将来の昇進の可能性が低下することを示す階層プラトー現象と、長期間同様の職務に従事することでマンネリ化し自己の職務に挑戦性を感じられなくなった状態を示す内容プラトー現象の2つでとらえています。本論文では、看護職のキャリア目標の設定がキャリア・プラトー現象におよぼす影響を階層プラトー現象と内容プラトー現象とで比較検討し、さらに、それらに影響を及ぼす要因を検討しました。
臨床経験3年以上の看護師を対象とした質問票調査の結果、キャリア目標を設定している人ほど、昇進可能性の低下や仕事の挑戦性の低下に陥りにくいことがわかりました。また、高いキャリア目標を設定している人ほど、昇進可能性の低下に陥りにくいことも明らかになりました。
専門職や看護師のキャリア発達や働くこと一般の問題に興味をおもちの方は、是非以下をお読み下さい(松下由美子・田中彰子・吉田文子・杉本君代・雨宮久子各氏との共同発表)。
書評
【論文レビュー】専門職に自組織の中でキャリアをすすめようと意欲を持って働いてもらうためには何が必要か?:山本ほか(2012)
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