組織における昇進の停滞を示すキャリア・プラトー現象は、当然のことながら、従業員の職位と結びつきが強いといえます。そのため、組織の人的資源管理がどの程度プラトー現象に影響を与えているかを、大企業の課長および課長が所属する組織の人事担当管理職に対する調査(大企業調査)によって分析しました。その結果、全体として、組織の人的資源管理は主観的プラトー化より客観的プラトー化に関連していました。また、早期退職優遇制など従業員が自発的に参加する制度や、昇進試験など客観的に結果が明確になる制度がプラトー現象に影響を与えることが示されました。
さらに、人的資源管理とプラトー現象との関係を検討するにあたっては、従業員の活動を左右する組織内に共有された価値、規範、行動様式などを示す企業文化的な視点が有効と考えられます。そこで、昇進に関する企業文化を、敗者復活戦や抜擢人事など外から観察可能な組織の雇用・昇進慣行と、課長が認知する所属組織の管理職選抜システムに分類しました。大企業調査の結果、プラトー現象は雇用・昇進慣行上の類型の差異にかかわらず、どの組織にも普遍的にみられる現象であることが示唆されました。また、管理職選抜システムの認知類型別にプラトー現象を比較した結果、主観的プラトー化の程度に差はみられませんでしたが、所属組織が早期エリート選抜型であるとする課長は、同期横並び型または競争継続型とする課長より客観的にプラトー化していました。
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1997年度組織学会研究発表大会報告要旨,pp.166-169
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