本発表では、キャリア・デザイン研修など従業員のキャリアの自律性を重視するようなキャリア開発と、内容プラトー化との関係を検討しました。内容プラトー化とは、長期間同様の職務に従事することでマンネリ化し自己の職務の挑戦性を感じられなくなった状態を示します。日本看護協会によって専門分野での知識や能力を認められた認定看護師を分析対象としました。さらに、この関係を、看護師の自己の専門性に対する意識の観点から調査分析しました。認定看護師の人々は専門職である看護師のなかでもさらに専門性を重視する人々だと考えられるからです。
その結果、以下の点が明らかにされました。
第1に、キャリア開発が行われている程、内容プラトー化はみられませんでした。
第2に、専門性意識つまり、自己の専門性へのコミットメントおよび転職など組織間のキャリア発達に対する自信(組織間キャリア効力)が高いほど、内容プラトー化はみられませんでした。
第3に、専門性コミットメントが高い程、キャリア開発の内容プラトー化へのマイナスの影響が強くみられました。
専門職のキャリア発達やキャリア開発の問題に関心をおもちの方は、以下をお読み下さい。
産業・組織心理学会第27回大会発表論文集,pp.99-102(松下由美子・田中彰子・吉田文子・杉本君代・雨宮久子各氏との共同発表)
学会発表