働く人が労働に関して何を重視するかを示す労働観は、個人のパーソナリティにおいて変わりにくいと考えられてきました。しかし、近年ゆとりを求める人々の意識の変化や、女性の職場への進出など、労働環境や企業の人的資源管理を取り巻く外的環境の影響を受けていると考えられます。本論文では、組織従業員の労働観として、仕事中心の労働観と、仕事を通しての人格形成を重視する人格形成の労働観の2つを考えました。さらに、それらに影響を及ぼす対人関係要因とその他の心理的要因として、対人意識とライフスタイルの方向を設定しました。そして、首都圏に居住する60才未満の男女を対象にした質問票調査の結果によって分析しました。
その結果、友人との親和的な結合を重視することは人格形成の労働観の形成に寄与していたのに対し、仕事中心の労働観の形成には寄与しませんでした。また、所属集団に対する連帯意識の強さ、自尊心の強さ、ゆとりを求めるライフスタイルが仕事志向の労働観に対し寄与していることが明確にされました。働く人の意識やそれと組織のマネジメントとの関係などの問題に興味がある方は、是非お読み下さい。
学術論文