キャリア・プラトー現象(昇進の遅れ)は、現在、第二次ベビーブーム世代(1971-74年生まれ39-42歳)を中心に進行しているといわれます。この現象が高齢化や高学歴化の進展による不可避的なものだとすれば、現象自体が問題だというより、その進行が従業員のモチベーションや業績の低下につながることが問題でしょう。そこで本論文では、両者間に従業員のモチベーションを考え、プラトー現象がモチベーションを低下させ、モチベーションの低下が業績低下や退職を促進するという関係を想定しました。そして、モチベーション理論の一つである原因帰属理論に基づいて、大企業の課長職を対象とした質問票調査によって分析しました。(原因)帰属理論とは、あるでき事についてそれが生じた原因を推論してゆくプロセスにおける法則性を理論化したものです。
分析の結果、プラトーでないほど、昇進を自分の能力の程度などの内的要因や(上司など)普段接している人からの助力などの安定的な要因に帰属していました。また、昇進を運に帰属する傾向が強く、普段接していない人からの不意の助力に帰属する傾向が弱い方が、主観的にプラトー化しても行動・業績の低下を緩和させる可能性が示されました。さらに、昇進をその困難度に帰属する傾向が弱い方が、客観的にプラトー化してもむしろ行動・業績を向上させることが示されました。このように全体として、プラトー現象は昇進に関する原因帰属に一定の影響を与えていることが明らかにされました。これから、敗者復活戦の定期的な実施などの人的資源管理施策による従業員の原因帰属への働きかけが、業績向上や転職防止などの効果をあげる可能性が示されたといえます。組織における従業員のキャリア発達や昇進の問題に関心のある方は、是非以下をお読み下さい。
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