人材獲得競争が激化し、高業績人材がいつでも他社に流出する可能性がある現代、優秀な人材にいかに長く自社にとどまって能力を発揮してもらうかというリテンション(定着)は、多くの組織にとって重要な問題となっています。そして、従業員の職務や組織へのコミットメントを高めるような組織のマネジメントは、彼らのリテンション(定着)を促進するというコミットメントモデルが欧米の企業では認められてきました。そこで、わが国企業でもそのモデルが成立するかどうかを検証するために、評価・昇進の適切性、積極的教育訓練および雇用の保障という人的資源管理を行っているかどうかと従業員のリテンション(定着)との関係を質問票調査の結果によって分析しました。この調査は、筆者も参加した(財)雇用振興協会(現(一社)SK総合住宅サービス協会)の従業員調査の結果に基づいています。
結果として、コミットメントを向上させる人的資源管理のリテンション効果がほぼ立証されました。その中で、雇用保障の効果が最も高かったことから、雇用調整の実施はリテンションにマイナスであることが明らかにされました。また、評価・昇進の適切性の効果もみられ、成果主義導入における評価の公平性重要であることが見出されました。さらに、人的資源管理は従業員のキャリア発達、特に昇進可能性を促進することでよりリテンションに資することが明らかにされました。加えて、以上の関係は職務業績の高低に関わらずみられ、高業績者のみに限定したリテンション・マネジメントの困難性も指摘されました。
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