業績や退職に結びつくという意味で、働く人の職務満足の研究の重要性は依然高いと考えられます。また近年、労働時間短縮やワーク・ライフ・バランス重視の傾向が進展し、働く人における生活重視の傾向がみられるようになってきました。そこで、本発表では、生活重視の傾向を社会規範意識および生活満足という生活意識要因としてとらえ、それらと職務満足との関係を検討しました。その際、職務満足を、M因子(職務因子)である働くこと自体に対する満足感、R因子(人間関係因子)である社内の人間関係に対する満足感及びH因子(その他外的環境因子)である賃金・労働時間等に対する満足感の3つに分けて考えました。
首都圏及び近畿圏の生活者を対象にした質問票調査の結果、社会規範を受容する意識の高い従業員においては生活における孤独感が低く、職場における全体的な職務満足は高いなどの結果がみられました。また、R因子的な職務満足に影響の強い生活意識要因として社会規範意識と生活満足が強く影響していました。以上の結果から、働く人の「労働生活の質(QWL)」向上のためのきめ細かな人的資源管理施策やキャリア開発のための基礎資料が提供されたといえます。
働く人の意識やそれと組織のマネジメントとの関係などの問題に興味がある方は、以下をお読み下さい。
産業・組織心理学会第6回大会発表論文集, pp. 47-49(滋野英憲・横田澄司各氏との共同発表)