業績や退職に結びつくという意味で働く人の職務満足の研究の重要性は依然高いと考えられます。また近年、労働時間短縮やワーク・ライフ・バランス重視の傾向が進展し、働く人における生活重視の傾向がみられるようになってきました。そこで、本発表では、生活重視の傾向をライフスタイルおよび生活満足という生活意識要因としてとらえ、それらと職務満足との関係を検討しました。その際、職務満足を、M因子(職務因子)である働くこと自体に対する満足感、R因子(人間関係因子)である社内の人間関係に対する満足感及びH因子(その他外的環境因子)である賃金・労働時間等に対する満足感の3つに分けて考えました。また、ライフスタイルを生活を計画的、積極的、意欲的、創造的に過ごそうとする方向性のものとしました。
首都圏及び近畿圏の生活者を対象にした質問票調査の結果、ライフスタイルと職務満足との関係などで、自己実現型のライフスタイルの持ち主はM因子的な職務満足は高いが、労働条件的な職務満足が低いことなどが見出され、前述の3因子からみて一貫した結果がみられました。以上の結果から、人的資源管理上,生活意識要因としてのライフスタイルや生活満足の差異に十分配慮した採用、配置、組織編成などの重要性が明らかにされました。
働く人の意識やそれと組織のマネジメントとの関係などの問題に興味がある方は、以下をお読み下さい。
日本経営システム学会平成3年度秋季研究発表大会予稿集,pp.1-5