広い意味での働くことに関する対象に対するコミットメントをワーク・コミットメントといいます。例えば、組織コミットメントは所属組織に対する、職務関与は担当している職務に対する、キャリア・コミットメントは所属している職業(キャリア)に対するコミットメントを示します。本発表では、これらワーク・コミットメントが転職意思や組織における上昇志向的行動などの(キャリア上の)決定・行動にどのように影響するかを、民間企業の正社員に対する質問票調査によって検討しました。
その結果、転職などキャリアを変更しようとする行動の意思に対するキャリア・コミットメントの関係の強さ、仕事上の自己犠牲的行動や仕事の質を向上させようとする行動に対する職務関与の関係の強さなどが明らかにされました。全体として、コミットメントと(キャリア上の)決定・行動との関係において、対象を共通にする組織行動概念間の関係は、対象を異にする組織行動概念間の関係より強いという「対象の共通性優位」仮説がかなりの程度成立することが明らかにされました。同時に、従業員に対するコミットメント増進策の展開上示唆が得られました。
働く人の意識やそれと組織のマネジメントとの関係などの問題に興味がある方は、以下をお読み下さい。
日本労務学会第24回全国大会報告要旨,pp. 19-20
学会発表