学会発表

「組織の配置管理とキャリア・プラトー現象との関係-キャリア発達の観点から」産業・組織心理学会第15回大会(東京富士大学)

 キャリアの「発達」といわれますが、働く人々のキャリアは本当に「発達」しているのでしょうか?実際は停滞(プラトー化)し、場合によっては下降することもあるというのが実態ではないでしょうか? 本発表では、所属組織で将来の昇進の可能性が低下することを示すキャリア・プラトー(昇進の遅れ)現象を取り上げ、組織の人的資源管理との関係を検討しました。特に、多様な人的資源管理のなかでも従業員の部署への配置管理を取り上げ、従業員のキャリア・プラトー現象との関係を分析しました。キャリア・プラトー現象は管理職ポストを増加させることによって緩和されると考えられますが、業績が向上し続けている組織でないとそれは困難であり、他の施策を考える必要があるからです。
 大企業10社および所属する課長237名に対する質問票調査を行った結果、課長の一つの課への(平均)配置期間をあまり短すぎずまた長すぎない期間(4-5)
に設定している組織で課長のプラトー化が進行していないことが示されました。しかし、現在の課が組織のエリート・コースに一致しているかどうかとプラトー化との関連はみられませんでした。また、現在の部署での配属期間が長い課長やエリート・コースに一致していない課長の場合、プラトー化しているほど仕事へのコミットメントが低く転職意思が高い傾向がみられました。プラトー現象やそれによる影響を検討する上で配置管理の機能がある程度明らかにされたといえます。
 組織における従業員のキャリア発達やそれと組織の人的資源管理との関係に関心がある方は、以下をお読み下さい。
 産業・組織心理学会第15回大会発表論文集, pp.80-83

「キャリアプラトーとは」特集はこちら

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