本発表は、働く人のリテンション(組織への定着)・マネジメントに関する7回目の発表です。
最近の顕著な人手不足にもみられるように、現代は優秀な人材の獲得競争の時代となっています。雇用流動化の進展による転職の増加もそれを後押しし、有能な高業績を挙げる人材、将来のコア人材の争奪戦といった状況も展開されています。本発表では、以下の3つの点を検討しました。
第1は、従業員が所属組織の人的資源管理をどのように知覚しているかと彼らの組織に長くいたいという意思(リテンション)の関係です。
第2は、従業員の自分の持つ専門性に対する意識とリテンションとの関係の分析です。
第3は、人的資源管理の知覚とリテンションの関係に専門性意識がどのような影響を及ぼすかということの検討です。
正社員を対象とした質問票調査を分析した結果、第1については、人的資源管理の知覚全体および公正な評価が行われていること雇用を保障していることがリテンションを促進していました。第2については、転職など組織間をまたがったキャリア発達に対する自信(組織間キャリア効力)はリテンションにマイナスに影響していましたが、自分のもつ専門性へのコミットメントの影響はみられませんでした。第3については、組織間キャリア効力は人的資源管理の知覚とリテンションの関係に影響していませんでしたが、専門性へのコミットメントの影響は両者の間のマイナスの関係を促進していました。
人的資源管理や従業員のリテンションに関心をお持ちの方は、是非以下をお読み下さい。
経営行動科学学会第14回大会発表論文集,pp.237-242
本文→人的資源管理の知覚とリテンション-専門性意識の観点から
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